DUHKHA

Apr 02, 2023

Duhkha
(दुःख/ドゥカ)



"Shanti Mantra"


ॐ सर्वे भवन्तु सुखिनः, सर्वे सन्तु निरामयाः। सर्वे भद्राणि पश्यन्तु
मा कश्चिद्दुःखभाग्भवेत् ।शान्तिः शान्तिः शान्तिः

Om Sarve Bhavantu Sukhinah, Sarve Santu Niraa mayaah
Sarve Bhadraani Pashyantu, Maa Kashcid-Duhkha-Bhaag-Bhavet
Shaantih Shaantih Shaantih

全ての存在が幸せになりますように
全ての存在が病から自由になりますように
全ての存在が幸運を見出せますように
誰も苦しみませんように
平和でありますように



上記は、毎朝のサーダナでシャバーサナの後に唱えているマントラです。
"Duhkha"は仏教やヒンドゥー教など東洋思想において重要な概念で、シンプルに「苦しみ」と訳されることが多いですが、より正確には「日常生活の中で根本的に不満足で苦しいと感じる、習慣的経験のこと」を指します。そしてそれは、輪廻という生と死のサイクルに囚われたすべての存在が生まれ持っている性質とされています。つまり、「生きている限りこの世は苦しみに満ちている!」という考え方です。

なんとも救いのない考え方に聞こえますが、人はただ苦悩にまみれた人生を歩むしかないということでしょうか。

私たちは苦しみのさなかにあるとき、その原因は外側の世界にあると思ってしまいがちです。しかしこの物質世界のあらゆる状態や存在は無常で変化し続けており、常に自分の望ましい状態であることは不可能です。にもかかわらず、私たちはいつも何かを渇望したり嫌悪したりしており、まさに世界に対するそのような反応こそが苦しみの根源であり、私たちを新たな転生と苦のサイクルに閉じ込めています。
智恵を持って自分と世界を見つめ、自らが苦しみ製造マシンであるという真実に気づきそれをやめた時、人はモクシャ(解脱)の境地にたどり着き苦しみから解放されるのです。

本当に「この世は苦しみに満ちている」かどうかは自分次第。
「Maa Kashcid-Duhkha-Bhaag-Bhavet」は、「誰も苦しむことのないように悪い出来事が起こりませんように」ではなく、「苦しみの種になりうる思い通りにならないことで溢れたこの世界を、誰もが新たな苦しみを生み出さず平穏に生きられますように」という祈りの言葉です。